ビスホスホネート製剤と服薬補助ゼリーの相互作用

 フォサマック(アレンドロン)やボノテオ(ミノドロン)などのビスホスホネート製剤の服用に服薬補助ゼリーの使用は可能?

ビスホスホネート製剤は食事やミネラルにより吸収が低下するため水(ミネラルウォーターはNG)での服用が必須。

ただし、ビスホスホネート製剤は粘膜への局所刺激作用があり、喉につっかえると問題。
アレンドロン製剤には経口ゼリーという剤型があるが、このゼリーも割と大きく、ゼリーなのに噛んだりしてはダメとなっており、微妙に使いにくい。

服薬補助ゼリーでビスホスホネート製剤に使用できるものはあるのでしょうか。


主な服薬補助ゼリーとその成分

薬局でよく見るのは以下の商品。

・らくらく服薬補助ゼリー(龍角散)
・おくすり飲めたね 味各種 (龍角散)

どちらも龍角散から発売されている。

成分は以下の通り。

らくらく服薬補助ゼリー(レモン味)の含有成分

エリスリトール、還元麦芽糖水あめ、寒天/ゲル化剤、酸味料、乳酸カルシウム、香料、甘味料(ステビア)、クチナシ色素 

おくすり飲めたの含有成分

ピーチ:還元麦芽糖水あめ、エリスリトール、寒天、ゲル化剤、香料、酸味料、乳酸カルシウム、アナトー色素、クチナシ色素、甘味料(ステビア)

チョコ:エリスリトール、還元麦芽糖水あめ、ココアパウダー、寒天/ゲル化剤、ショ糖脂肪酸エステル、香料、甘味料(ステビア)

いちご:還元麦芽糖水あめ、エリスリトール、寒天、ゲル化剤、酸味料、香料、乳酸カルシウム、ムラサキイモ色素、甘味料(ステビア)、カラメル色素

レモン:還元麦芽糖水あめ、エリスリトール、寒天、ゲル化剤、酸味料、乳酸カルシウム、香料、 甘味料(ステビア)、クチナシ色素

ぶどう:還元麦芽糖水あめ、エリスリトール、寒天、ゲル化剤、香料、酸味料、乳酸カルシウム、赤キャベツ色素、クチナシ色素、カラメル色素、甘味料(ステビア)

フルーツ系はほとんど同じような感じ。
チョコだけココアパウダーは脂肪酸が入っている。


気になるのは乳酸カルシウム。どの程度はいっているのでしょうか・・・
乳酸カルシウムは溶解性が高く、基本溶けてCa2+となっているので、ビスホスホネート製剤の吸収に影響しそう。

※水道水のカルシウム含量
日本の水道水のカルシウム含量(推定値)は1.27㎎/100gとのこと。※1
コップ1杯の水≒200mlでは2.5㎎程度。

乳酸カルシウム1g中のカルシウム含量≒120㎎
結局、乳酸カルシウムの含量が分からないと意味がない・・・・



ビスホスホネート製剤との相互作用

らくらく服薬ゼリーのQAには以下のように書かれている。

""薬の作用や吸収に影響はないの?
「らくらく服薬ゼリーシリーズ」、「おくすり飲めたねシリーズ」は医薬品の添加物として認められた成分のみを使用しています。個別の医薬品については医師又は薬剤師へご相談ください。"

医薬品の添加物と認められていても、医薬品とすら一緒に飲んではいけないビスホスホネート製剤やリベルサスは相互作用の可能性は大いにある。

ボナロン メーカーサイト

Q. ボナロン錠5mgは服薬補助ゼリーで服用しても良いですか? 

ボナロン錠5mgは服薬補助ゼリーで服用するのは避けてください。服薬補助ゼリーにはカルシウム等、多価の陽イオンが含まれていることが多く、ボナロン錠5mgの吸収が妨げられる可能性がございます。 錠剤の服用に不安のあるような方にはボナロン経口ゼリー35mgやボナロン点滴静注バッグ900μgもご用意しておりますので、ご検討ください。

そのことで、避けるように指示。
あくまで可能性であり、検討したデータはないよう。

ボノテオ メーカー回答

”服薬補助ゼリーとの相互作用を検討したデータはなし。
可能性が否定できないため推奨できない。水で服用するように。”

そうなんでしょうけど・・・水で飲みにくいから聞いているわけで・・・


結局、データがないので避けるとしか言えない・・・
ゼリー製剤にできるのだから、相互作用のないゼリーも作れると思う。


まとめ

ビスホスホネート製剤を服薬補助ゼリーで服用するのは避けるべき。
理由:データがない 服薬補助ゼリーには陽イオンが含有されていることが多い。


※1https://www.mext.go.jp/component/a_menu/science/detail/__icsFiles/afieldfile/2015/12/24/1365334_1-0326.pdf
 2021年1月16日

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