フェブリクからユリスへの切り替え

フェブリク(フェキソスタット)を既に服用している患者がユリス(ドチヌラド)に切り替える場合、等力価で変更してよい?

尿酸排泄促進薬のユリス。

今まで肝機能障害が問題になるが最も排泄促進さようがある※1とされているベンズブロマロンか相互作用の多いプロベネシドしかなかったので、選択肢が増えそう。(あと処方あまり見ませんがブコロームもある)

高尿酸血症のうち、腎負荷型が約1割、混合型が約3割、尿酸排泄低下型約6割といわれており※1、尿酸排泄低下している患者は全体で9割いることになる。

それなのに処方されるのはフェブリクやアロプリノールがほとんど。
尿酸排泄遅延型にもフェブリクなどの尿酸産生抑制薬が有効とする報告はあるが、ガイドライン上、病型にあった治療薬の選択が奨められている。※1

今までフェブリクやアロプリノールを使用していた患者さんがユリスに切り替わることも考えられますが、変更時の開始用量はどうすればよいのか調べてみました。


ユリスの基本情報

適応:痛風、高尿酸血症
用法:1日1回 経口投与
用量:1日0.5㎎より開始 維持量は通常2㎎ 最大4㎎
禁忌:特になし(過敏症のみ)
注意:eGFR<30未満の場合は有効性不明(臨床試験時の対象外)

具体的な増量方法は?

本剤の投与は0.5mg1日1回から開始し、投与開始から2週間以降に1mg1日1回投与開始から6週間以降に2mg1日1回投与とするなど、徐々に増量すること。なお、増量後は経過を十分に観察すること※2となっている。

4㎎まで増量するときの間隔は?
第3相の臨床試験では、2㎎増量後、投与開始14週後に血清尿酸値が6.0mg/dL を超えていた場合は投与開始18週後から4mg/日へ増量

少し分かりにくいですが、
0.5㎎スタート→2週間→1㎎→4週間→2㎎


※フェブリクなどと併用する場合も上記初回用量から。フェブリク高用量だからといってユリスも高用量でスタートで併用しないように。


尿酸の病型について

尿酸排泄低下型
尿酸の排泄が遅延している。
→尿酸クリアランス/クレアチニンクリアランスが低下する

尿酸産生増加型
尿酸の産生が増加し、そのせいで尿中排泄も増加している
→尿中への尿酸排泄量の増加により判断する。


尿酸は産生と排泄が常に定常状態と仮定されている。
それなので、産生が増える≒その分排泄量も増えると考えるよう。

なので、フェブリクなどの産生抑制薬を使用すると、産生量が減り、それに伴い排泄量も減量するとの報告がある※2
排泄低下型につかって低下しないのか疑問ですが、なぜか有効。


フェブリクからユリスへの切り替え

力価比較

ユリス2㎎ ≒ フェブリク40㎎ ≒  ベンズブロマロン50㎎/日 ※1

ということで、切り替えるのであればフェブリク10㎎→ユリス0.5㎎でよいと思います。
ただ、ちゃんとみると維持量(2mg vs 40mg)以外ではフェブリクのほうがやや下がりがよさそう。
※3インタビューフォームより
第Ⅲ相フェブキソスタット対照二重盲検比較試験(FYU-981-014)
目標値の達成率が
ユリス0.5㎎ vs フェブキソスタット10㎎で25.3% vs 32.7%
ユリス1.0㎎ vs フェブキソスタット20㎎で53.1% vs 65.3%

統計解析の結果がでていなかったので、どうなのか知りませんが、維持量未満で継続した場合にフェブリクのころより下がらないという可能性もありそうなので、要経過観察。

(メーカーはやってないから分からない、と。支払い的にはフェブリク高用量服用者であればユリス0.5㎎スタートでなくても大丈夫そうな話を聞いているとのことでした。)


フェブリクの半減期は6時間程度で中止後は1,2日で消失すると思われる。
ユリスの半減期は10時間程度。定常状態まで2,3日はかかりそうなので、完全にフェブリク中止で切り替える場合は2,3日目の尿酸値の変動に注意が必要そう。

かといってわざわざ1日被せるほど調整が必要な薬剤でもないと思う・・・


作用機序(おまけ)※3

尿酸排泄促進薬はだいたい尿酸の再吸収を抑制する。
再吸収にかかっているのがURAT1というトランスポーラー。
今までの薬は分泌に関わるABCG2やOATPも阻害してしまうため問題であったが、ユリスはしないらしい。そのおかげか相互作用も少ない。そしてCYPへの関与も弱い。
選択的尿酸再吸収抑制薬(SURI)という言葉を広めようと頑張っている。



ユリスとフェブキソスタットの2重盲検比較の対象を見ると、特に病型(尿酸排泄低下型、産生増加型)は指定されていない。

それでもどっちも下がって非劣性。
逆にいうと最初に述べた通り、尿酸産生低下型にもフェブリクは効いている。

どっちがいいんでしょうかね。
心疾患のリスク増加とか騒がれたのでフェブリクではないものが主流になっていくのでしょうか。


まとめ

フェブリク10㎎ ≒ ユリス0.5㎎

フェブリク服用患者が切り替える場合は同力価を参考に変更。(エビデンスはなし)

維持量(2㎎)未満では、フェブリクのほうがやや低下作用が強い可能性?

尿酸排泄低下型でも尿酸産生促進薬は効果ありなのでわざわざ変更不要?


※1 高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン
※2 フェブキソスタット内服に伴う、尿酸排泄の変化(Gout and Uric & Nucleic Acid  Vol.44 No.1 2020)
※3 ユリス インタビューフォーム
 2021年6月25日

関連記事