一般名処方や先発名処方の際、適応が異なる後発品(ジェネリック)に変更して適応外となってしまった場合、適応違いで査定される? 厚労省と支払基金の見解
R4.6月にサムスカのジェネリックであるトルバプタンが発売された。
先発のサムスカには肝硬変以外に心不全や腎疾患関係の適応がある。
しかし、ジェネリックのトルバプタンには「ループ利尿薬等の他の利尿薬で効果不十分な肝硬変における体液貯留」しか適応がない。
今までもドネペジルのレビー小体型認知症への適応やビ・シフロールのレストレスレッグへの適応などでも先発とジェネリックの適応違いは起こっていた。
一般名や先発で変更不可となっていなければ変更できてしまいますが、この場合、査定や返戻はされるのでしょうか?
この件に関して、適応違いは査定されない通知があるという話を耳にしたのですが、当薬局は普通に査定(正確には医療機関が査定されるわけですが・・・)されていたので、今更ながらどのようなことになっているか過去の通知等をもとにまとめてみました。
ジェネリック医薬品の適応違いが査定されないという通知について
おそらくこれは以下の内容と思われる。
これに対して、厚労省は以下のように回答している。
なんともよくわからない通知を出しており・・・これを後発に変えても査定されないと解釈した人がいるものと思われる。
ただ、この通知に関してはその後のじほうの取材に対して以下の回答をしているようです。
ということで、判断つけば査定してねってことですかね。
薬局のせいになるパターンとは・・・?
・変更不可なのに変更した(もはや査定の前に違反)
・患者聴取で適応が明らかなのに変更した?(これは微妙?)
基本的には病院が切られる感じと思っています(うちは今まで病院しか切られていないです。変更不可付いていなかったので・・・)
この件に関してはその後も国会への質問も何度かやり取りされていたようなので、抜粋してみました。
後発品への変更による適応違いについて 国会でのやり取り
最初の質問は平成24年6月20日、回答が6月29日
第180回国会質問主意書及び答弁書 提出番号151
質問 回答 より抜粋・要約
なんとも、回答になっていない回答ですね笑
結局個別に判断しろと・・・そしたら突合で査定しますよね・・・適応がないのですから。
この回答に納得のいかなかった質問者はさらにもう一度質問しています。
2回目の質問は平成24年7月9日、回答が7月17日
第180回国会質問主意書及び答弁書 提出番号185
質問 回答 より抜粋・要約
うん、全く進んででないですね笑
もう答えがないんだからそういえばいいのに、不毛なやり取りですね。
そして質問者はこの不毛な回答に腹を立て(?) 、再度質問しています。まだ続きます笑。
3回目の質問は平成24年9月6日、回答が7月17日
第180回国会質問主意書及び答弁書 提出番号255
質問 回答 より抜粋・要約
これ以降質問は続いていないようです。
最後まで厚労省としては、結局明確な回答はない・・・
支払側に任せるという感じですね・・・
それで支払基金が適応ないのに査定しなかったとしても、それは適応外認めるときと同じように別に不当とはいわないよ と・・・
なので、一律に支払い基金が査定するわけではないと思いますが、実際に査定されている例を個人的には見ているので、厚労省の回答通り、「個別の症例に応じた対応」が実行されているのが現実でしょうか。
トルバプタンに変えて門前が査定されまくったら・・・恐ろしいので変更はしばらく避けたいところです・・・
まとめ
ジェネリック医薬品に変更したことにより、先発と適応が異なり適応外になってしまった場合の査定について
・厚労省としては、一律に審査はせず、個別に対応するようにとの姿勢。 また、適応外となってしまっていても査定しないことが(支払側が)不当という判断にはならないとの見解。
・支払側としては、一律に審査しないとの見解。
・現状は、上記の見解通り、審査される場合とされない場合がある。
※自店の状況
ビ・シフロールをジェネリックに変えた→レストレスレッグへの処方だったようで査定
アリセプトをジェネリックに変えた→レビー小体型認知症への処方だったようで査定
(現在はジェネリックも適応あり)