カリメート、ロケルマの作用発現時間、カリウム値の推移

カリメートやロケルマの作用発現時間 服用後何時間でどの程度カリウム値は低下する?

高カリウム血症は、心電図異常があったり、自覚症状がある場合など、緊急性が高い場合はグルコン酸カルシウム静注(心保護目的でありカリウムは低下しない)、GI療法(グルコース、インスリン療法)が行われる。

心電図異常や自覚症状がなく、カリウム値~6.5くらいであれば経口剤が処方されて外来で治療することが多い。


そもそも高カリウム血症の定義は?

高カリウム血症はカリウム値がいくつ以上からという明確な定義はない。

一般的に5.0や5.5mmol/L以上で高カリウム血症としていることが多い。



カリメート、ロケルマ服用後のカリウム値の推移


ロケルマ

HARMONIZE Global試験※1という高カリウム血症患者を対象とした試験において10g/回、1日3回投与した場合、24時間以内に63.3%、48時間以内に89.1%の患者が正常値(ここでは:3.5mmol/L以上5.0mmol/Lと定義)になっている。※1

投与後のカリウム値の推移を見ると、投与1時間後にはすでに低下がみられており、4時間後には0.5程度低下している。
本剤の投与開始から3.9時間後までに半数の患者が正常血清カリウム値に達したと報告されています。※2

ちなみにこの試験のロケルマ投与群のベースラインのカリウム値は5.7mmol/Lで、投与24時間後に平均ー0.87、48時間後にはー1.28低下しています。

試験の対象者は8割がCKD患者さんです。

48時間以降は維持量で5~15g/回、1日1回の投与になるので注意。


カリメート

添付文書やインタビューフォームには詳細がないためその他の文献を検索してみました。

臨床試験①
CKD患者を対象とした試験※3においては、ベースライン5.26mmol/LのCKD合併高カリウム血症患者に対して、平均6.9日間の投与で3.99mmol/L(ー1.25)まで低下している。


臨床試験②
ポリスチレンスルホン酸カルシウム製剤とナトリウム製剤の比較試験※4において、カリメートと同成分であるポリスチレン~カルシウムはベースライン5.8mmol/Lだったのが、投与3日後に4.8mmol/L(-1.0)まで低下している。


時間単位での変化を見ている試験はみつかりませんでした。
とある参考書※4にはイオン交換樹脂は2時間程度の発現時間と記載されているが根拠となっている文献は閲覧できず。
余談ですが、これによるとGI療法は20程度で効果が発現するらしい。


ロケルマと遺恨交換樹脂(カリメート、ケイキサレート等)との違いは?

カリメート、ケイキサレートなどのポリスチレンスルホン酸製剤はポリマー製剤であり、便秘が問題となっていた。

ロケルマは非ポリマー性の化合物であるため膨張しにくく便秘になりにくい。
副作用報告でも便秘は全ての臨床試験で10%未満となっている。




まとめ

ロケルマは、服用後1時間でカリウム値が低下し、4時間後には50%以上の患者で正常値まで下がる。

カリメートなどのイオン交換樹脂は、服用後2時間で下がるとされているが根拠不明。3日間服用でー1.0mmol/L低下している試験結果あり。


※2 ロケルマ インタビューフォーム
※4 薬事 2020.12 (Vol.62 No.16) 63(3109)
 2022年11月22日

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