エルネオパと各種薬剤混合時の含量変化

 エルネオパNF1号、2号に混合した際の含量変化について

エルネオパとの配合変化は大塚製薬のホームページに記載があるが、ほとんどが外観の変化のみであり、含量については記載がない。

また、配合変化ありとなっていもて等量で混合している場合が多く、エルネオパ1000ml~2000mlに薬液2mlなどの臨床現場とはかけ離れている。

論文報告もある程度は見つかるため、在宅で処方される薬剤について、混合可否をまとめてみました。


リンデロン注(ベタメタゾンリン酸エステル)

配合条件

・リンデロン注4mg/1ml/A 1A
・エルネオパNF1号、2号 1000ml (開通済)

保存条件

・遮光、4℃で7日間

含量変化

・ベタメタゾンの含量低下なし≒100%

参考文献:※1


ラシックス注(フロセミド)

配合条件

・ラシックス注20mg/2ml/A 1A
・エルネオパNF1号、2号 1000ml (開通済)

保存条件

・遮光、4℃で7日間

含量変化

・フロセミドの含量低下なし≒100%

参考文献:※1

※大塚製薬ホームページでは等量で白色不溶物との記載があるが、エルネオパ1000mlへの混合であれば上記の通り問題ない。


ガスター注(ファモチジン)

配合条件

・ガスター注射液20mg/2ml/A 2A
・エルネオパNF1号、2号 1000ml (開通済)

保存条件

・遮光、4℃で7日間

含量変化

・ファモチジンの含量低下なし≒100%

参考文献:※1


ブスコパン注(ブチルスコポラミン)

配合条件

・ブスコパン注20mg/1ml/A 2A
・エルネオパNF1号、2号 1000ml (開通済)

保存条件

・遮光、4℃で7日間

含量変化

・ブチルスコポラミンの含量低下なし≒100%

参考文献:※1


プリンペラン注射液(メトクロプラミド)

配合条件

・プリンペラン注射液10mg/2ml/A 1A
・エルネオパNF1号、2号 1000ml (開通済)

保存条件

・遮光、4℃で7日間

含量変化

・メトクロプラミドの含量低下なし≒100%

参考文献:※1


ビソルボン注(ブロムヘキシン)

配合条件

・ビソルボン注4mg/2ml/A 1A
・エルネオパNF1号、2号 1000ml (開通済)

保存条件

・遮光、4℃で7日間

含量変化

・ビソルボンの含量低下:6時間後で33%低下、その後7日間までは変化なし。(含量67%)

参考文献:※1


サンドスタチン皮下注射用100μg(オクトレオチド)

配合条件

文献※2の報告
・サンドスタチンが10μg/mlとなるように混合(=エルネオパ1000ml中10000μg)
・①エルネオパNF1号 開通後
 ②エルネオパNF1号 上室
 ③エルネオパNF1号 下室

文献※3の報告
・サンドスタチン(配合量不明 先発、後発どちらも実施)
・①エルネオパNF1号 開通後
 ②エルネオパNF1号 上室
 ③エルネオパNF1号 下室

保存条件

文献※2の報告
・遮光、37℃で3日間

文献※3の報告
・遮光、4℃で7日間

含量変化

文献※2の報告
・①サンドスタチンの含量低下:直後に10%低下、その後は変化なし。3日後の含量90%
・②サンドスタチンの含量低下:直後に10%低下するが、やや改善し3日後の含量95%
・③サンドスタチンの含量低下:直後に10%低下、1日後に20%低下し、3日後の含量80%

文献※3の報告
・①サンドスタチンの含量低下:7日後で6%の低下
・②サンドスタチンの含量低下:7日後で2%の低下
・③サンドスタチンの含量低下:7日後で5%の低下

参考文献:※2、※3



参考文献

※1 中心静脈栄養用輸液に混注された 6 種薬剤の安定性に関する検討. YAKUGAKU ZASSHI 141, 599-610 (2021)
※2 エルネオパ1号輸液への混注投与におけるオクトレオチドの残存率. 医療薬学40(1) 54―61 (2014)
※3 エルネオパNF 1号及び2号輸液中に混注されたオクトレオチドの安定性に関する検討. 日本薬学会第136年会(2016)27AB-am121、第55回日本薬学・日本薬学・日本病院薬剤師会中国四国支部学術大会(2016)P-61、日本薬学会第138年会(2018)28PA-pm190




 2023年1月27日

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