調剤録の記載事項 薬歴に内容が記載されていれば調剤録は不要? 電子保存に該当する?
「保険薬局の分割調剤及び調剤録の取扱いについて」(令和2年11月10日 医保発1110第1号)にて、(薬剤服用歴等)に調剤録と同様の事項を記入したものをもって代えることができるとの通知がされた。
普段当たり前に処方箋の裏に付けている調剤録ですが、要件を満たしていれば薬歴だけでよいことになる。
そして電子薬歴であれば、電子保存となるので、調剤録の電子的な保存にも該当すると思われる。
調剤録の記載事項、電子的保存の要件を満たしているのか詳しく調べてみました。
調剤録への記載事項
調剤録への記載事項は複数の通知、法令で定められている。
メインとなるのは「薬剤師法および施行規則」と「薬担規則」になる。
薬担規則で定められている記載事項は薬剤師法の記載事項+保険請求関係となっている。
保険薬局であれば薬担規則のほうも満たさなければならないので、実質的には薬担規則の記載事項を満たす必要が出てくる。
それぞれの記載事項は以下の通り。
薬剤師法、薬剤師法施行規則の記載事項
薬剤師法
(調剤録) 第二十八条
(調剤録の記入事項) 薬局開設者は、薬局に調剤録を備えなければならない。
2 薬剤師は、薬局で調剤したときは、厚生労働省令で定めるところにより、調剤録に厚生労働省令で定める事項を記入しなければならない。
3 薬局開設者は、第一項の調剤録を、最終の記入の日から三年間、保存しなければならない。
薬剤師法施行規則
第十六条
法第二十八条第二項の規定により調剤録に記入しなければならない事項は、次のとおりとする。ただし、その調剤により当該処方箋が調剤済みとなつた場合は、第一号、第三号、第五号及び第六号に掲げる事項のみ記入することで足りる。
一 患者の氏名及び年令
二 薬名及び分量
三 調剤並びに情報の提供及び指導を行つた年月日
四 調剤量
五 調剤並びに情報の提供及び指導を行つた薬剤師の氏名
六 情報の提供及び指導の内容の要点
七 処方箋の発行年月日
八 処方箋を交付した医師、歯科医師又は獣医師の氏名
九 前号の者の住所又は勤務する病院若しくは診療所若しくは飼育動物診療施設の名称及び所在地
十 前条第二号及び第三号に掲げる事項・・・(疑義照会の内容※)
※
二 医師、歯科医師又は獣医師の同意を得て処方箋に記載された医薬品を変更して調剤した場合には、その変更の内容
三 法第二十四条の規定により医師、歯科医師又は獣医師に疑わしい点を確かめた場合には、その回答の内容
薬担規則での記載事項
(調剤録の記載)
第十条 保険薬剤師は、患者の調剤を行つた場合には、遅滞なく、調剤録に当該調剤に関する必要な事項を記載しなければならない。
具体的な内容については、通知に記載されている。
「保険薬局の分割調剤及び調剤録の取扱いについて」(令和2年11月10日 医保発1110第1号)
2 調剤録について
保険薬局において作成する保険調剤録は、次に該当する事項を記入すること。
なお、この調剤録は、調剤済となった処方箋又は患者の服薬状況や指導内容等を記録し
たもの(薬剤服用歴等)に調剤録と同様の事項を記入したものをもって代えることができ
ること。
(1)薬剤師法施行規則第 16 条に規定する事項
(2)患者の被保険者証記号番号、保険者名、生年月日及び被保険者被扶養者の別
(3)当該薬局で調剤した薬剤について処方箋に記載してある用量、既調剤量及び使用期間
(4)当該薬局で調剤した薬剤及び当該調剤等についての請求項目、請求点数及び患者負担金額
つまり、薬剤師法施行規則で決められた事項に、患者の保険情報、請求点数、患者負担金額が、薬歴にも載るようなシステムであれば、薬歴をもって調剤録とすることができるということになる。
請求点数というのは、どこまで詳細に記載が必要なんでしょうか。
薬歴システム側で請求点数を細かく載せていることは少ない印象。
現状の調剤録に記載されている事項は記載していないとまずそうでしょうか・・・ここをクリアできれば調剤録の作成が不要になるので楽そう。
薬歴で満たすのであれば、電子的な保存になるため、電子で調剤録を保管していることにもなる。
医療DX推進整備体制加算の要件に「(5)電磁的記録による調剤録及び薬剤服用歴の管理の体制を有していること。」があり、わざわざ調剤録を電子保存しているが、薬歴でよけえればこの手間がなくなる。
まとめ
薬歴に「調剤録の記載事項」が記載されていれば、薬歴を調剤録と見なせる。