かかりつけ薬剤師指導料

かかりつけ薬剤師指導料


R4年度調剤報酬改定部分の概要

かかりつけ薬剤師以外が対応した場合の特例が「服薬管理指導料」に追加
その他変更なし

・服薬管理指導料
注14 当該保険薬局における直近の調剤において、区分番号13の2に掲げるかかり
つけ薬剤師指導料又は区分番号13の3に掲げるかかりつけ薬剤師包括管理料を
算定した患者に対して、やむを得ない事情により、当該患者の同意を得て、当該
指導料又は管理料の算定に係る保険薬剤師と、当該保険薬剤師の所属する保険薬
局の他の保険薬剤師であって別に厚生労働大臣が定めるものが連携して、注1に
掲げる指導等の全てを行った場合には、注1の規定にかかわらず、服薬管理指導
料の特例として、処方箋受付1回につき、59点を算定する。

・算定要件
”調剤報酬点数表に関する事項”より
(2) 当該特例は、当該保険薬局における当該患者の直近の調剤において、区分13の2
に掲げるかかりつけ薬剤師指導料又は区分13の3に掲げるかかりつけ薬剤師包括
管理料を算定した患者について算定できるものとする。

・「他の保険薬剤師であって別に厚生労働大臣が定めるもの」の要件
第 99 の2 服薬管理指導料の注 14 に規定する保険薬剤師(かかりつけ薬剤師と連携する他の薬剤師が対応した場合)
1 「かかりつけ薬剤師と連携する他の薬剤師」は以下の要件を全て満たす保険薬剤師であること。
(1) 保険薬剤師として3年以上の薬局勤務経験があること。なお、保険医療機関の薬剤師としての勤務経験を1年以上有する場合、1年を上限として保険薬剤師としての勤務経験の期間に含めることができる。
(2) 当該保険薬局に継続して1年以上在籍していること。

★別の薬剤師が対応し、上記算定する場合、あらかじめ文章による同意が必要
★毎回算定はできず、直近の調剤においてかかりつけ薬剤師指導料が算定されていることが要件となっている

→「定めるもの」としか記載がなくかかりつけ薬剤師のような届出はなし



概要

告示:調剤報酬点数表 別表第三

13の2 かかりつけ薬剤師指導料 76点 

注1 別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険薬局において、当該施設基準に規定する要件を満たした保険薬剤師が患者の同意を得て、必要な指導等を行った場合に、処方箋受付1回につき所 定点数を算定する。

注2~6:略(指導料の加算関係)

注7:区分番号10に掲げる服薬管理指導料を算定している患者については、 算定しない。また、区分番号15に掲げる在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定している患者については、当該患者の薬学的管理指導計画に係る疾病と別の疾病又 は負傷に係る臨時の投薬が行われた場合を除き、算定しない


詳細

通知:調剤報酬点数表に関する事項

区分13の2 かかりつけ薬剤師指導料 

(1) かかりつけ薬剤師指導料は、かかりつけ薬剤師が、保険医と連携して患者の服薬状況を 一元的・継続的に把握した上で患者に対して服薬指導等を行った場合に算定できる。

 (2) 算定に当たっては、当該指導料を算定しようとする薬剤師本人が次に掲げる全ての事項 を説明した上で、患者に対し、別紙様式2を参考に作成した同意書に、かかりつけ薬剤師に希望する事項及び署名の記載を求め、同意を得る。また、かかりつけ薬剤師に関する情報を文書により提供する。必要な記入を行った同意書は、当該保険薬局において保管し、 当該患者の薬剤服用歴等にその旨を記載する。なお、かかりつけ薬剤師がやむを得ない事情により業務を行えない場合にかかりつけ薬剤師と連携する他の薬剤師が服薬指導等を行うことについて、患者が希望する場合は、あらかじめ文書で患者の同意を得ること。その場合、当該保険薬剤師の氏名について当該文書に記載すること。 
 ア かかりつけ薬剤師の業務内容 
 イ かかりつけ薬剤師を持つことの意義、役割等 
 ウ かかりつけ薬剤師指導料の費用 
 エ 当該指導料を算定しようとする薬剤師が、当該患者がかかりつけ薬剤師を必要とする と判断した理由 

(3) 同意取得は、当該薬局に複数回来局している患者に行うこととし、患者の同意を得た 後、次回の処方箋受付時以降に算定できる。なお、1人の患者に対して、1か所の保険薬局における1人の保険薬剤師のみについてかかりつけ薬剤師指導料を算定できるものであり、同一月内は同一の保険薬剤師について算定すること。 

(4) 他の保険薬局及び保険医療機関おいても、かかりつけ薬剤師・薬局の情報を確認できる よう、患者が保有する手帳等にかかりつけ薬剤師の氏名、勤務先の保険薬局の名称及び連絡先を記載する。

 (5) 患者に対する服薬指導等の業務はかかりつけ薬剤師が行うことを原則とする。ただし、 やむを得ない事由により、かかりつけ薬剤師が業務を行えない場合は、当該保険薬局に勤務する他の保険薬剤師が服薬指導等を行っても差し支えないが、かかりつけ薬剤師指導料は算定できない(要件を満たす場合は、服薬管理指導料を算定できる。)。この場合、他の保険薬剤師が服薬指導等で得た情報については、薬剤服用歴等に記載するとともに、かかりつけ薬剤師と情報を共有すること。 

(6) かかりつけ薬剤師は、担当患者に対して、以下の服薬指導等を行う。 
 ア 服薬管理指導料に係る業務を実施した上で患者の理解に応じた適切な服薬指導等を行うこと。 
 イ 患者が服用中の薬剤等について、患者を含めた関係者が一元的、継続的に確認できるよう、患者の意向を確認した上で、服薬指導等の内容を手帳等に記載すること。 
 ウ 患者が受診している全ての保険医療機関の情報を把握し、服用している処方薬をはじ め、要指導医薬品及び一般用医薬品(以下「要指導医薬品等」という。)並びに健康食品等について全て把握するとともに、その内容を薬剤服用歴等に記載すること。また、当該患者に対して、保険医療機関を受診する場合や他の保険薬局で調剤を受ける場合には、かかりつけ薬剤師を有している旨を明示するよう説明すること。 
 エ 患者から 24 時間相談に応じる体制をとり、開局時間外の連絡先を伝えるとともに、 勤務表を作成して患者に渡すこと。この場合において、当該薬局のかかりつけ薬剤師以外の別の保険薬剤師が相談等に対応する場合があるときは、その旨を患者にあらかじめ説明するとともに、当該保険薬剤師の連絡先を患者に伝えることにより、当該薬局の別の保険薬剤師が対応しても差し支えない。 
 オ 患者が他の保険薬局等で調剤を受けた場合は、その服用薬等の情報を入手し、薬剤服用歴等に記載すること。 
 カ 調剤後も患者の服薬状況の把握、指導等を行い、その内容を薬剤を処方した保険医に 情報提供し、必要に応じて処方提案すること。服薬状況の把握は、患者の容態や希望に応じて、定期的にすること(電話による連絡、患家への訪問、患者の来局時など)。 また、服用中の薬剤に係る重要な情報を知ったときは、患者に対し当該情報を提供し、 患者への指導等の内容及び情報提供した内容については薬剤服用歴等に記載すること。 
 キ 継続的な薬学的管理のため、患者に対して、服用中の薬剤等を保険薬局に持参する動機付けのために薬剤等を入れる袋等を必要に応じて提供し、その取組(いわゆるブラ ウンバッグ運動)の意義等を説明すること。また、患者が薬剤等を持参した場合は服 用薬の整理等の薬学的管理を行うこととするが、必要に応じて患家を訪問して服用薬の整理等を行うこと。なお、訪問に要した交通費(実費)は、患家の負担とする。 
 ク 必要に応じ、患者が入手している調剤及び服薬指導に必要な血液・生化学検査結果の提示について、患者の同意が得られた場合は当該情報を参考として、薬学的管理及び 指導を行う。 

(7) かかりつけ薬剤師指導料を算定する患者以外の患者への服薬指導等又は地域住民からの 要指導医薬品等の使用に関する相談及び健康の維持増進に関する相談に対しても、丁寧に対応した上で、必要に応じて保険医療機関へ受診勧奨を行うよう努める。 

(8) 麻薬管理指導加算、特定薬剤管理指導加算1、特定薬剤管理指導加算2、乳幼児服薬指 導加算及び小児特定加算の取扱いについては、服薬管理指導料の麻薬管理指導加算、特定薬剤管理指導加算1、特定薬剤管理指導加算2、乳幼児服薬指導加算及び小児特定加算に 準じるものとする。

 (9) 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成3年法 律第 76 号)第 16 条の8で定める期間に、当該保険薬局の勤務時間が週 32 時間に満たな い薬剤師が算定する場合には、次に掲げる対応を行う。 
 ア 同意取得に当たり、勤務時間が通常より短いことを説明する。 
 イ 患者に渡す勤務表には、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律で定める期間であるため短時間勤務となっている旨を記載する。 
 ウ 当該保険薬局に勤務する他の保険薬剤師と当該患者についての情報を共有し、同意し ている保険薬剤師の不在時に患者から問い合わせがあった場合等に、他の保険薬剤師が同意している保険薬剤師と連絡を取るなどして円滑に対応できる体制を整えておく。 

(10) かかりつけ薬剤師指導料は、服薬管理指導料又はかかりつけ薬剤師包括管理料と同時に 算定することはできない。 

(11) 平成 30 年4月1日前に取得した同意は、(2)の規定によらずその効力を有する。ただ し、患者が同意の取消しを申し出た場合は、この限りでない。


【同意書の様式例】

別紙様式2


通知:特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて

第 100 かかりつけ薬剤師指導料及びかかりつけ薬剤師包括管理料

1 かかりつけ薬剤師指導料及びかかりつけ薬剤師包括管理料に関する施設基準
 以下の要件を全て満たす保険薬剤師が配置されていること。

(1) 以下に掲げる勤務経験等を有していること。
 ア 施設基準の届出時点において、保険薬剤師として3年以上の薬局勤務経験がある。な
お、保険医療機関の薬剤師としての勤務経験を1年以上有する場合、1年を上限として
保険薬剤師としての勤務経験の期間に含めることができる。
 イ 当該保険薬局に週 32 時間以上(32 時間以上勤務する他の保険薬剤師を届け出た保険
薬局において、保険薬剤師について育児・介護休業法第 23 条第1項若しくは第3項又は
第 24 条の規定による措置が講じられ、当該労働者の所定労働時間が短縮された場合にあ
っては週 24 時間以上かつ週4日以上である場合を含む。)勤務している。
 ウ 施設基準の届出時点において、当該保険薬局に継続して1年以上在籍している。

(2) 薬剤師認定制度認証機構が認証している研修認定制度等の研修認定を取得していること。

(3) 医療に係る地域活動の取組に参画していること。

(4) 薬学管理等の内容が他の患者に漏れ聞こえる場合があることを踏まえ、患者との会話の
やりとりが他の患者に聞こえないようパーテーション等で区切られた独立したカウンター
を有するなど、患者のプライバシーに配慮していること。

2 届出に関する事項
(1) かかりつけ薬剤師指導料及びかかりつけ薬剤師包括管理料の施設基準に係る届出は、別
添2の様式 90 を用いること。

疑義解釈

令和4年度

問 28 既にかかりつけ薬剤師指導料等の算定に係る同意を得ている患者に対
し、かかりつけ薬剤師と連携する他の薬剤師が対応した場合の特例に係る
同意を追加で得る場合は、かかりつけ薬剤師の同意書に追記する又は別に
当該特例に係る同意を文書で得るといった対応をすればよいか。
(答)よい。ただし、既存の同意書に当該特例に係る同意に関して追記する場合
には、当該同意を得た日付を記載するとともに、改めて患者の署名を得る
ど、追記内容について新たに同意を取得したことが確認できるようにする
こと。また、別に文書により当該特例に係る同意を得る場合については、既
存の同意書と共に保管すること。

問 29 かかりつけ薬剤師と連携する他の薬剤師が対応することについて、事
前に患者の同意を得ている場合であって、当該他の薬剤師が以下のとおり
対応する場合は、それぞれ服薬管理指導料の特例(かかりつけ薬剤師と連
携する他の薬剤師が対応した場合)を算定可能か。
① 週3回勤務の薬剤師が対応する場合
② 当該店舗で週3回、他店舗で週2回勤務の薬剤師が対応する場合
(答)かかりつけ薬剤師と連携する他の薬剤師の要件を満たせば、①及び②のい
ずれの場合についても算定可。

問 30 かかりつけ薬剤師と連携する他の薬剤師については、かかりつけ薬剤
師と同様に届出が必要か。
(答)不要。

問 31 服薬管理指導料の注 14 に規定する特例(かかりつけ薬剤師と連携する
他の薬剤師が対応した場合)を算定した場合についても、服薬管理指導料
の注 13 に規定する特例(手帳の活用実績が相当程度あると認められない
保険薬局が算定する服薬管理指導料)に係る手帳を提示した患者への服薬
管理指導料の算定回数の割合の算出に含める必要があるのか。
(答)そのとおり。

問 32 服薬管理指導料の特例(かかりつけ薬剤師と連携する他の薬剤師が対
応した場合)を算定した場合には、算定要件を満たせば服薬管理指導料の
各注に規定する加算を算定できるのか。
(答)そのとおり。

【かかりつけ薬剤師指導料、かかりつけ薬剤師包括管理料】
問 33 かかりつけ薬剤師指導料又はかかりつけ薬剤師包括管理料(以下「か
かりつけ薬剤師指導料等」という。)について、かかりつけ薬剤師が情報
通信機器を用いた服薬指導を行う場合は算定可能か。
(答)それぞれの算定要件を満たせば算定可

問 34 薬剤師が在籍・勤務期間中に、育児休業、産前・産後休暇又は介護休業
(以下「育児休業等」という。)を取得した場合、当該薬剤師が育児休業
等から復帰して1年又は3年以上経過しない限り、「当該保険薬局に1年
以上の在籍」「3年以上の薬局勤務経験」の要件を満たさないのか。
(答)育児休業等を取得した薬剤師については、育児休業等の期間を除いた通算
の期間が1年又は3年以上であれば、要件を満たすものとする。したがって、
育児休業等の取得前に1年以上在籍又は3年以上勤務していれば、育児休
業等から復帰した時点においても当該要件を満たすこととなる。
なお、この取扱いについては、地域支援体制加算の施設基準における管理
薬剤師の在籍・勤務期間についても同様である。
これに伴い、「疑義解釈資料の送付について(その1)」(平成 28 年3月 31
日事務連絡)別添4の問 43 は廃止する。


その他疑義解釈

(問1)かかりつけ薬剤師指導料及びかかりつけ薬剤師包括管理料の施設基準である、「医療に係る地域活動の取組に参画していること」について、どのように考えればよいか。
(答)「医療に係る地域活動の取組に参画していること」の要件についての考え方は、次のような活動に主体的・継続的に参画していることである。
・地域包括ケアシステムの構築に向けた、地域住民を含む、地域における総合的なチーム医療・介護の活動であること。
・地域において人のつながりがあり、顔の見える関係が築けるような活動であること。
 具体的には、地域における医療・介護等に関する研修会等へ主体的・継続的に参加する事例として以下のようなことが考えられる。
  ①地域ケア会議など地域で多職種が連携し、定期的に継続して行われている医療・介護に関する会議への主体的・継続的な参加
  ②地域の行政機関や医療・介護関係団体等(都道府県や郡市町村の医師会、歯科医師会及び薬剤師会並びに地域住民に対して研修会等サービスを提供しているその他の団体等)が主催する住民への研修会等への主体的・継続的な参加

(問2)上記の活動のほかに、「医療に係る地域活動の取組に参画していること」に該当するものはあるのか。
(答)本来の地域活動の取組としては、上記のような考え方に基づく活動に薬局の薬剤師として積極的に参画することが求められるが、以下のような事例も当面の間は要件に該当すると考えられる。なお、薬局として対応している場合は、届出に係る薬剤師が関与していることが必要である。
・行政機関や学校等の依頼に基づく医療に係る地域活動(薬と健康の週間、薬物乱用防止活動、注射針の回収など)への主体的・継続的な参画(ただし、薬局内でのポスター掲示や啓発資材の設置のみでは要件を満たしているとはいえない。)
・行政機関や地域医師会、歯科医師会、薬剤師会の協力のもとで実施している休日夜間薬局としての対応、休日夜間診療所への派遣
・委嘱を受けて行う学校薬剤師の業務 等

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 2018年1月20日

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