マイスリー(ゾルピデム)、レンドルミン(ブロチゾラム)、ハルシオン(トリアゾラム)の違いは?
マイスリーはふらつきでにくくて、レンドルミンは短時間、ハルシオンは超短時間ってことくらいはわかりますが、他に何か使い分けされるような特徴はあるのでしょうか?
作用時間、副作用等々比較してみました。
基本情報の比較
作用時間
マイスリー
Tmax:0.7-0.9h T1/2:1.78-2.30 (超短時間)
レンドルミン
Tmax:1.0-1.5h T1/2:7.0 (短時間)
催眠作用15-30分で発現、7-8時間で消失(IFより)
ハルシオン
Tmax:1.2h T1/2:2.9 (超短時間)
※長時間型:24時間以上,中間型:12~24時間,短時間型:6~12時間,超短時間型:6時間以内
IFに発現時間の記載があるのはレンドルミンのみ。
超短時間型は発現まで15分前後、持続は2-4時間と言われている。(今日の治療薬)
マイスリー、ハルシオンは超短時間型。
ただ、半減期が2、3時間なので6時間睡眠の人だとまだ20-30%近く薬残っている。
作用機序
受容体の基本は、ベンゾジアゼピンのサブタイプ(ω1,ω2)のうち、
ω1受容体:催眠作用。小脳に多く分布。
ω2受容体:抗不安作用、筋弛緩作用。脊髄、海馬に多く分布。
大脳皮質では、ω1/ω2受容体がほぼ均等に分布している。
マイスリー
非ベンゾジアゼピン系。
ω1選択性。
レンドルミン
ベンゾジアゼピン系。
ω非選択だが、親和性はω1>ω2
ハルシオン
ベンゾジアゼピン系。
ω非選択性。
代謝
マイスリー
肝代謝(CYP3A4,2C9.1A2)
吸収率は良好でほぼ100%、うち尿中未変化体は0.5%未満なので腎排泄はほぼなし。
ただ、腎機能障害で分布容積の増加がみられたため慎重投与にはなっている。
透析患者に連日投与しても蓄積性なし(添付文書)
レンドルミン
肝代謝:CYPによりメチル化又は水酸化を受ける。
代謝物にも薬理作用はあるが、ブロチゾラムより弱い。(IF)
代謝物の96時間後の排泄は尿中64.9%、糞便中21.6%。
ほとんど肝代謝されるが、代謝物にも少なからず活性があるので注意は必要。(こちらも慎重投与)
肝代謝:CYPによりメチル化又は水酸化を受ける。
代謝物にも薬理作用はあるが、ブロチゾラムより弱い。(IF)
代謝物の96時間後の排泄は尿中64.9%、糞便中21.6%。
ほとんど肝代謝されるが、代謝物にも少なからず活性があるので注意は必要。(こちらも慎重投与)
ハルシオン
肝代謝:CYP3A4で代謝され、主に6種類の代謝物となる。
代謝物の24時間後の排泄は尿中に81%。
メインの代謝物α-hydroxytriazolamと4-hydroxytriazolamで、前者は活性あり(トリアゾラムと同等~1/2程度)、後者は活性なし。
ただ、前者は後者と比べるとそんなに多く産生されない。(添付文書、IF)
全て基本肝代謝。
ものによって代謝物の活性あり。
マイスリーが一番腎機能障害にでも安心できそうなデータ。
代謝物の24時間後の排泄は尿中に81%。
メインの代謝物α-hydroxytriazolamと4-hydroxytriazolamで、前者は活性あり(トリアゾラムと同等~1/2程度)、後者は活性なし。
ただ、前者は後者と比べるとそんなに多く産生されない。(添付文書、IF)
全て基本肝代謝。
ものによって代謝物の活性あり。
マイスリーが一番腎機能障害にでも安心できそうなデータ。
副作用
マイスリーはω1選択性が高いからふらつき少ないって言いますが、そんなに差はあるんでしょうか。
マイスリー
臨床試験1022例中
ふらつき:4.0%、眠気:3.8%、頭痛2.8%、倦怠感:2.8%
臨床試験1022例中
ふらつき:4.0%、眠気:3.8%、頭痛2.8%、倦怠感:2.8%
市販後調査4485例中
ふらつき0.4%、眠気0.5%
ふらつき0.4%、眠気0.5%
レンドルミン
臨床試験及び再審査終了時6548例中
ふらつき1.01%、眠気、2.2%、倦怠感0.73%
臨床試験及び再審査終了時6548例中
ふらつき1.01%、眠気、2.2%、倦怠感0.73%
ハルシオン
調査症例数12930例中
ふらつき1.27%、眠気1.2%、倦怠感0.77%
副作用発現率は臨床試験時のほうが高くなる傾向(参考:Jpn J Clin Pharmacol.Ther 2013 :44(6) 463-468)にあるので、これをみるとやっぱりマイスリーがふらつき一番出にくいといっていいんじゃないでしょうか。
ガイドラインにおいても非ベンゾジアゼピンはベンゾジアゼピン系と比べ、安全性、有効性に優れているとされている。
その他
睡眠薬・抗不安薬の強さ一覧はこちら
ふらつき1.27%、眠気1.2%、倦怠感0.77%
副作用発現率は臨床試験時のほうが高くなる傾向(参考:Jpn J Clin Pharmacol.Ther 2013 :44(6) 463-468)にあるので、これをみるとやっぱりマイスリーがふらつき一番出にくいといっていいんじゃないでしょうか。
ガイドラインにおいても非ベンゾジアゼピンはベンゾジアゼピン系と比べ、安全性、有効性に優れているとされている。
その他特徴
マイスリー
味覚異常(苦味)が見られることがある。(アモバンほどではないが)
レンドルミン
他2剤よりはやや効果が持続するため、中途覚醒気味の方に使われる。
ハルシオン
CYP阻害薬の影響を受けやすいため禁忌多数。
まとめ(個人的)
マイスリー:高齢者、腎機能障害に。
レンドルミン:中途覚醒気味の方。
ハルシオン:ω2刺激もあるから不安があって超短期使いたい人
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