カロナールとイブプロフェンの併用

カロナール(アセトアミノフェン)とブルフェン(イブプロフェン)の併用すると効果は上がる? 副作用は問題ない?

カロナール、ブルフェンと言えば小児に投与できる解熱鎮痛剤。
ブルフェンはNSAIDsですが、小児(5歳以上)には安全性が確立されている。

カロナールとブルフェンの併用をたまに見ます。
ネットで検索するとやめたほうがいいといった意見もあるし、問題ないとする意見も見つかる。(2剤を配合しているOTCもありますが・・・)

ネットの情報をみてもはっきりとした根拠がない意見が多いので調べてみました。

PubMedでアセトアミノフェン、イブプロフェン、併用、メタ解析で検索したら、24個出てきたので、関係が深そうなものをピックアップしてみました。

併用の有効性・副作用について

文献① 鎮痛作用、副作用について5つのRCTについての解析
有効性
アセトアミノフェン又はNSAIDs単剤より、2剤併用でより優れた鎮痛作用がみられた。

副作用
主な副作用は吐き気、頭痛、めまいが全ての群で見られたが、2つのRCTでは群間での差はなかったとされており、さらに1つのRCTではイブプロフェン400㎎+アセトアミノフェン1000㎎のほうが、アセトアミノフェン1000㎎単剤より副作用が少なかった。



文献② 解熱作用、副作用について6つのRCT、915人の解析
有効性
アセトアミノフェン投与後、3~4時間経過後にイブプロフェンを追加投与すると、投与しない場合とくらべ有意な解熱効果がみられる。

アセトアミノフェンとイブプロフェンの併用は各薬剤単剤より解熱作用が強い

アセトアミノフェンとイブプロフェン併用とアセトアミノフェン投与3-4時間後のイブプロフェン追加投与の比較においては、統計学的に有意差なし。(信頼区間-0.48~0.08)

副作用
単剤、2剤併用、追加投与どれにおいても副作用に差はなかった。(ただし、母数が多くないため不十分である)




文献③ 抜歯時の鎮痛作用、副作用についての解析
有効性
アセトアミノフェンとイブプロフェン併用は各薬剤単剤に比べ、優位に痛みを改善した。

副作用
併用により、問題となるレベルの副作用はほとんど見られなかった



文献④ 鎮痛作用について21のRCT、1909人についての解析
有効性
イブプロフェンに限らず、イブプロフェン単剤又はNSAIDs単剤と比較して2剤併用のほうが鎮痛作用が強かった




文献⑤ 鎮痛作用・副作用について3つのRCT、1647人についての解析
有効性
2剤併用はイブプロフェン単剤、アセトアミノフェン単剤と比較して優位に痛みを改善

2剤を併用すると、8時間後の追加投与が単剤と比べ少なくなる。

副作用
全ての試験において重大は副作用は見られていない




見ての通り、2剤併用は有効とするデータがほとんどでした。

イブプロフェンのほうがアセトアミノフェンよりは強いと言われているので、アセトアミノフェン服用後頓服イブプロフェンを追加投与すれば効果がでるでしょうけど、イブプロフェンにアセトアミノフェンを追加投与した場合でも改善がみられるんですね。

そして最初から2剤併用でも効果は高まり、副作用はみられていないようです。

ブルフェン100㎎ 3T 毎食後
カロナール200㎎ 1T 5回分
という処方をたまに受けるのですが、理に適っているということになりそうです。


OTCではバファリンプレミアムはアセトアミノフェンとイブプロフェンを1:1で配合している。


※イブプロフェンとカロナールの比較はこちらにまとめてあります。

カロナールとイブプロフェンの比較




まとめ

2剤併用は各薬剤単剤よりも解熱・鎮痛効果が大きい。

どちらか1剤服用で効果がない場合、もう1剤を追加投与する場合でも効果は見られる。

併用しても懸念すべき副作用の増加は見られない。

鎮痛剤の強さ比較一覧はこちら

 2017年7月8日

関連記事