中時間作用型の抗不安薬3剤の違いは?
先日は短時間作用型のデパスとリーゼの違いについて調べたので、今回は中間型の3剤について比較。(デパスとリーゼの違いはこちらの記事)
中間型に分類される抗不安薬
・アルプラゾラム(コンスタン/ソラナックス)
・ロラゼパム(ワイパックス)
・ブロマゼパム(レキソタン/セニラン)
基本情報の比較
適応
コンスタン/ソラナックス
・心身症(胃・十二指腸潰瘍、過敏性腸症候群、自律神経失調症)における身体症候並びに不安・緊張・抑うつ・睡眠障害
ワイパックス
・神経症における不安・緊張・抑うつ・心身症(自律神経失調症、心臓神経症)における身体症候並びに不安・緊張・抑うつ
レキソタン/セニラン
・神経症における不安・緊張・抑うつ及び強迫・恐怖・うつ病における不安・緊張
・心身症(高血圧症,消化器疾患,自律神経失調症)における身体症候並びに不安・緊張・抑うつ及び睡眠障害
・麻酔前投薬
心身症:精神的なものから身体そのもに異常がみられる=器質的変化
神経症:精神的な症状(不安、パニック)がメイン。身体そのものに異常は見られない。
適応を真面目に見るとアルプラゾラムは神経症に対しては適応がない。
うつ病に対してはレキソタンのみが適応がある。
これで使い分けるということはなさそうですが…
薬物動態
コンスタン/ソラナックス
Tmax:約2.0hT1/2:約14h
代謝:CYP3A
ワイパックス
Tmax:約2.0hT1/2:約12h
代謝:グルクロン酸抱合
レキソタン/セニラン
Tmax:約1.5hT1/2:約20h
代謝:不明(主な代謝物は水酸化物)
(各インタビューフォームより)
コンスタン/ソラナックスはCYP3Aにより代謝されるため相互作用が多い。
(一部の抗HIV薬は禁忌、イトラコナゾール、イミプラミン、シメチジンなどは併用注意)
ワイパックスはほとんどが直接グルクロン酸抱合で代謝されるため相互作用はほとんどない。
レキソタン/セニランも相互作用の報告は少ない。
薬理作用の比較
抗不安作用
コンスタン:++(作用強度:中)
ワイパックス:+++(作用強度:強)
レキソタン:+++(作用強度:強)
以前の勉強会で提示された文献(何だったか思い出せない)及び今日の治療薬より。
コンスタンのインタビューフォームを見るとワイパックスと比較して葛藤行動抑制は10倍、馴化作用は2倍、鎮静作用はやや強いとなっている。
上記作用強度とは全然一致しておりませんね…
実際の臨床試験では、心身症に対してコンスタン(1.2-2.4mg/day)とワイパックス(1.5-3.0mg/day)は同等の有効性であったとの報告あり。
レキソタン>ワイパックス≒コンスタンと表現しているものが多い。
上記作用強度とは全然一致しておりませんね…
実際の臨床試験では、心身症に対してコンスタン(1.2-2.4mg/day)とワイパックス(1.5-3.0mg/day)は同等の有効性であったとの報告あり。
レキソタン>ワイパックス≒コンスタンと表現しているものが多い。
睡眠作用
コンスタン:++ 眠気4.3%(8459例中)
ワイパックス:++ 眠気6.9%(10808例中)
レキソタン:++ 眠気15.7%(6582例中)
副作用報告を見る限りレキソタンの眠気の頻度が高い。
筋弛緩作用
コンスタン:+ ジアゼパムの1.4-3.1倍
ワイパックス:+ ジアゼパムの1.1-3倍
レキソタン:+++ ジアゼパムの1.4倍
薬理試験の結果は上記の通りあまり差はないが、レキソタンでのふらつきの発現率は7.75%と高い。(コンスタン0.1-5%未満、ワイパックス3.2%)
薬理試験の結果は上記の通りあまり差はないが、レキソタンでのふらつきの発現率は7.75%と高い。(コンスタン0.1-5%未満、ワイパックス3.2%)
不安障害に対する選択薬
3剤の微妙な違いについて見てみたが不安障害に対する第一選択薬はSSRIだそうで。(不安障害の薬物治療)
ベンゾジアゼピン系は2次治療以降いくつか見られる程度。
まとめ
ワイパックスは相互作用が少なく誰にでも使いやすい。
コンスタンは眠気・筋弛緩作用が弱く、パニック障害、全般性不安障害に対するエビデンスもある。
レキソタンは抗不安、催眠、筋弛緩全て強め。