ベンゾジアゼピン系依存形成の頻度

ベンゾジアゼピン系薬剤の依存はどの程度みられる? 依存形成されやすい薬剤と治療


ベンゾジアゼピン系による依存は長期・大量用量で起こるとされていたが、承認用量でも長期連用により依存が見られているため、2017年3月に厚労省よりベンゾジアゼピン系の添付文書改訂するよう通知が出された。

ベンゾジアゼピン系の中でも短時間作用型の薬剤が依存形成されやすいと言われていますが、実際どの程度見られているんでしょうか。


依存形成のメカニズム

・ベンゾジアゼピン系薬物がGABAA受容体に作用し,GABA作動性神経を脱抑制することによりドパミン作動性神経を活性化し,側坐核でのドパミン放出量を増加。

・ドパミンシグナルの異常興奮を受けた生体は,フィードバック反応としてドパミン受容体のダウンレギュレーション=受容体数の減少。

・受容体減少によりドパミンシグナルが不足した状態となり,薬物欲求=精神依存が形成。

参考:ベンゾジアゼピン系薬物における常用量依存の形成機序 薬事日報社


依存形成の頻度

以下は医薬品・医療機器等安全性情報No342に記載されていた内容より抜粋。

販売開始~H28.6.30までの依存及び離脱症状(重症・非重症区別なし)の件数(50例以上の報告があったもの限定)

エチゾラム(デパス):695例
アルプラゾラム(コンスタン):171例
トリアゾラム(ハルシオン):158例
ゾルピデム(マイスリー):126例
クロチアゼパム(リーゼ):118例
ロフラゼプ(メイラックス):64例

(発売日)
デパス:1984年
コンスタン:1984年
ハルシオン:1990年
マイスリー:2000年
リーゼ:1979年
メイラックス:1989年

超短時間型はトリアゾラム、ゾピクロン
短時間型はエチゾラム、クロチアゼパム
中時間型はアルプラゾラム
超長時間型はロフラゼプ

処方頻度が違うのでなんとも。
上記薬剤はどれも処方頻度が高い印象。
ブロチゾラムは処方頻度高いわりに報告は少ない。

長時間作用型でも処方頻度が高い薬剤は普通に依存がみられている。


投与期間と投与量

上記報告のうち、投与期間がわかっている症例が116例であり、14日以内に依存がみられたのは15例。残りの101例は15日以上投与後に見られた。

依存が見られた症例のうち、投与量が用量範囲内が473例、範囲外が442例
用量を超えていなくても依存発現頻度は同程度となっている。

これらの報告により、

常用量でも連用により依存形成がみられる。
短期間より長期投与のほうがみられる。

と判断され、添付文書上の「大量投与又は連用中における」という文言が「連用中における」に変更となった。



今までデパス依存と診断されたと話す患者さんに何度は出くわした。

少しずつデパスを減量しつつ、中・長時間作用型の薬剤に切り替えていた。


その他
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 2017年10月11日

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